当研究所の佐藤映は、2024年8月31日~9月1日に開催された産業・組織心理学会 第39回大会にて、下記の内容で口頭発表を行いました。
発表タイトル:「性格特性、行動特性の業務パフォーマンスへの間接効果」ー多変量回帰分析および媒介分析を通してー
以下に、概要をご紹介します。
営業パフォーマンスを左右する性格と行動の特性とは?
営業職の成果に影響する要因として、性格や行動特性がどのように関与するのかを明らかにするための研究が進められています。本研究では、特に関連が深いと見られた「挑戦性(新しいことに積極的に取り組むことを意識する傾向)」や「達成志向(目標を達成するための具体的な行動を意識して実行している度合い)」といった特性に焦点を当て、これらが実際の業績にどのような影響を与えるかを検証しました。
研究は卸売業のA社の営業職249名を対象に実施され、性格特性の測定には適性検査「ミキワメ」を使用し、行動特性の測定には、既存のコンピテンシーモデルからA社の高業績者の見解を踏まえて質問項目を選択した独自のモデルを用いました。加えて、コンピテンシーの行動評価データは、自己評価だけでなく、上司による他者評価をあわせて、整合性が取れるデータのみを用いました。
達成志向が鍵を握るパフォーマンスの向上
研究の結果、「挑戦性」が単体でパフォーマンスに直接的な影響を与えるのではなく、「達成志向」を通じた間接的な影響が重要であることが示されました。例えば、新しい経験を積極的に求める挑戦的な社員は、達成志向の行動を意識することで「成約率」や「案件単価」の向上に寄与します。一方で、顧客への配慮を重視しすぎると、案件単価の向上が難しくなることも明らかになりました。
性格傾向だけでなく行動の促進が必要
この研究から、性格的な特性だけでなく、社員一人ひとりの特性に応じた行動を促進することが求められると結論付けられました。また、成果を最大化するためには、社員に与える業務の難易度や環境も考慮すべきです。本研究は営業職に限定されていますが、今後は接客業など他職種への応用も期待されます。

<発表者>
佐藤 映
臨床心理士・公認心理師
株式会社リーディングマーク 専門役員/組織心理研究所 所長
京都大学教育学部、同大学院 教育学研究科 修士課程修了。修士(教育学)。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程、京都文教大学講師を経て、2020年より株式会社リーディングマークに入社、2025年より専門役員に就任。ミキワメシリーズの開発監修と、これらに関連した採用や人事企画を通した従業員や組織の心理的な支援を行う。
※産業・組織心理学会とは
国内において産業・組織心理学を標榜する唯一の学会であり、産業・組織心理学の学術的成果の発表、交流の場として1985年に設立。現在、研究者のほかに、企業の人事担当者や安全管理担当者、マーケティング担当者など1,200名を超える会員が活動しており、学会活動として年に一度の研究学術大会の開催、機関誌『産業・組織心理学研究』の発行、部門別研究会の開催、『JAIOPニュース』の発行等を行っている。
(産業・組織心理学会HPはこちら:https://www.jaiop.jp/)