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【共同研究】新入社員への上司フィードバックは、どのようにワーク・エンゲイジメントと関わるのか

2026/09/04
目次

株式会社アトラエとの共同研究で、入社直後、研修後、現場配属後の3時点を追跡しました。

組織心理研究所は、株式会社アトラエのWevox/R&Dチームとの共同研究として、新規学卒者に対する上司のフィードバックと職場適応の関連を検討しました。研究成果は、2026年9月5日に開催される産業・組織心理学会第41回大会で発表します。

調査では、2025年4月にある民間企業へ入社した新規学卒者59名を、入社直後、2か月間の研修後、店舗配属3か月後の3時点で追跡しました。上司からのポジティブ・フィードバックとネガティブ・フィードバックが、仕事で求められる能力を自分が備えているという感覚を通じて、ワーク・エンゲイジメントとどのように関わるかを分析しています。

研究で扱った三つの要素

● 上司のフィードバック ポジティブ・フィードバックとネガティブ・フィードバック

● D-A fit 仕事で求められる能力を自分が備えていると感じる程度

● ワーク・エンゲイジメント 仕事に活力、熱意、没頭を感じる状態

新規学卒者の職場適応を、フィードバックと能力適合感から捉える

新規学卒者は、研修や配属を通じて新しい仕事内容や役割を経験します。その過程では、仕事で求められる水準と自分の現在の能力との間に隔たりを感じることがあります。

ワーク・エンゲイジメントは、仕事に活力、熱意、没頭を感じるポジティブな心理状態です。上司から得られる情報や支援は、ワーク・エンゲイジメントを支える仕事資源になり得ます。ただし、褒めることと課題を伝えることが、入社後のどの時期に、どのような心理的過程を通じて職場適応と関わるかは十分に整理されていませんでした。

そこで本研究では、上司からのフィードバックがD-A fitを通じてワーク・エンゲイジメントと関わる経路に着目しました。D-A fitは、仕事から求められる能力と自分の能力が適合していると本人が感じる程度を指します。

入社時から店舗配属後までを3時点で追跡

研究協力者は、2025年4月にある民間企業へ入社した新規学卒者59名です。全員が大学卒の営業職でした。

調査は、入社直後、2か月間の集合研修後、店舗配属3か月後の3回実施しました。各時点で、上司のポジティブ・フィードバックとネガティブ・フィードバック、D-A fit、ワーク・エンゲイジメントを測定しました。

研修期間と店舗配属後では、仕事の内容やフィードバックを行う上司が変わります。そのため、3時点を一つの直線的な変化として扱うのではなく、研修中と配属後の二つの期間に分けて変化を推定する構造方程式モデリングを用いました。

上司のフィードバックが、直接ワーク・エンゲイジメントを高めたわけではない

分析では、上司からのフィードバックとワーク・エンゲイジメントとの直接的な関連は確認されませんでした。

フィードバックの種類とD-A fit、ワーク・エンゲイジメントの関連は、研修期間と店舗配属後で異なっていました。

研修期間では、ポジティブ・フィードバックとD-A fitが関連

研修期間中には、ポジティブ・フィードバックがD-A fitの変化と正に関連しました。上司から肯定的な評価や承認を得ることが、仕事に必要な能力を備えているという感覚に関わっていたと考えられます。

ただし、この時期のD-A fitの変化とワーク・エンゲイジメントとの明確な関連は確認されませんでした。研修期間でD-A fitが保たれることが、直ちに仕事への活力や熱意へつながったとはいえません。

店舗配属後では、ネガティブ・フィードバックがD-A fitを介してワーク・エンゲイジメントと関連

店舗配属後には、ネガティブ・フィードバックがD-A fitの変化と正に関連し、D-A fitの変化はワーク・エンゲイジメントと正に関連しました。

現場で具体的な仕事を担当するようになると、改善すべき点を伝えられることが、仕事で求められる能力と自分の現在地を理解する材料になり得ます。そのフィードバックが能力向上の感覚につながった場合に、ワーク・エンゲイジメントとも結びつく可能性があります。

一方、ネガティブ・フィードバックそのものとワーク・エンゲイジメントとの直接的な関連は確認されていません。厳しい指摘を増やせば意欲が高まる、という結果ではありません。

指摘を、能力向上のための情報として伝える

仕事上の不十分な点を伝えるだけでは、動機づけを損なう可能性があります。ネガティブ・フィードバックを行う際には、人格ではなく具体的な行動を対象とし、何を改善すべきかを明確にする必要があります。

さらに、その改善によってどのような能力が高まり、業務上どのような成果が見込めるのかを伝えることが求められます。指摘して終わるのではなく、改善方法をともに考え、必要な助言や支援を行うことも欠かせません。

こうしたフィードバックが受け止められるためには、上司と新規学卒者の関係性も関わります。望ましい行動を身につけることで仕事への適合感を高めるという目的を共有したうえで、能力向上に向けて伴走することが必要です。

研究結果を読む際の留意点

本研究は、特定企業1社の営業職を対象とした観察研究です。因果効果を示すものではなく、他の企業や職種、異なる育成制度にも同じ結果が当てはまるとは限りません。

また、測定したD-A fitは、本人が仕事に必要な能力を備えていると感じる程度です。実際の技能や業績が向上したかどうかは確認していません。今後は、対象企業や職種を広げるとともに、フィードバックの具体的な内容や伝え方、上司との関係性を含めて検討する必要があります。

共同研究について

本研究は、株式会社アトラエ Wevox/R&Dチームと、株式会社リーディングマーク 組織心理研究所による共同研究です。

職場で得られた縦断データを用い、新規学卒者の育成と職場適応を心理学的な観点から検討しました。

発表情報

大会名
産業・組織心理学会第41回大会

発表題目
新規学卒者に対する上司のフィードバックとdemands abilities fit,ワーク・エンゲイジメントとの関連

発表者
眞鍋 一水(株式会社アトラエ)/山田 圭介、佐藤 真美華、佐藤 映(株式会社リーディングマーク 組織心理研究所)

発表番号・日時
O23 2026年9月5日 10時30分~11時00分

発表形式・会場
口頭発表 会場5(J445)

大会会場
慶應義塾大学日吉キャンパス 来往舎

#プレスリリース#仕事のやりがい#組織づくり#マネジメント
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