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【研究発表】AI面接に、応募者はどのような説明と運用を求めるのか 日本社会心理学会第67回大会で発表します

2026/09/10
目次

組織心理研究所は、2026年9月12日・13日に関西大学千里山キャンパスで開催される日本社会心理学会第67回大会において、対人面接と対話型AI面接への応募者反応を検討した研究成果を発表します。

今回の研究では、大学生・大学院生392名へのシナリオ調査をもとに、AI面接に対して応募者が何を懸念し、どのような説明や運用があれば安心できると考えるのかを調べました。

今回のポイント

● AI面接への懸念では、「評価されている点」「評価基準・評価根拠」の分かりにくさが上位でした。

● 安心できる機能・運用では、「AIだけで合否を決めず人の面接につなげること」と「評価方法・評価項目の事前明示」が上位でした。

● 説明・運用への期待は、AI面接の公平感や面接を実施する企業への魅力と関連していました。

AI面接では、応募者の安心を支える体験設計が重要

AI面接は、選考業務の効率化や評価の標準化に加え、人の面接官から直接評価される緊張を和らげる可能性があります。応募者はAIとの会話に答えるだけでなく、選考の進め方が公平か、その手続きを採用する企業に信頼を持てるかも判断します。

先行研究では、AI面接への反応は面接形式そのものだけでなく、説明の分かりやすさ、評価主体、対話性、運用画面など、企業が工夫できる要因によって変わりうると指摘されています。

つまり、AI面接の受け止め方は固定されたものではありません。評価方法や結果の使われ方、人による確認とのつながりをどのように伝えるかによって、応募者が感じる安心や納得を支えられる可能性があります。

組織心理研究所は、同一調査を用いた第1報として、面接形式による応募者反応の差と面接選好に関わる要因を日本心理学会第90回大会で発表しました。第2報となる本研究では、不透明性と不気味さに着目し、応募者の具体的な懸念と安心できる機能・運用を検討しました。

第1報の記事 【研究発表】AI面接は「緊張しにくい」だけでは選ばれない

調査の概要

大学生・大学院生431名がオンライン調査に回答し、操作チェックで除外された39名を除く392名を分析対象としました。参加者には、次の二つの面接場面をランダムな順序で提示しました。

対人面接

Web上で人事担当者とリアルタイムに会話する面接。

対話型AI面接

Web上でAIアバターとリアルタイムに会話し、発話内容をもとに評価される面接。表情解析は行わない設定です。

各場面について、面接不安、評価への納得感、進め方の公平感、組織魅力、不気味さ、不透明性を5件法で尋ねました。また、希望する面接形式も尋ねました。

このうち、就活サービスを通じて参加した248名には、AI面接への懸念6項目と、あったら安心できる機能・運用7項目を追加で尋ねました。各項目は「まったくそう思わない」から「非常にそう思う」までの5件法で、3が中間値です。

対話型AI面接には、緊張を抑えやすい特徴がみられた

対話型AI面接は対人面接に比べて、面接不安が低く評価されました。人の面接官から直接評価される緊張を感じやすい応募者にとって、AI面接が緊張負担を抑えられる選択肢となる可能性があります。

一方、評価への納得感、進め方の公平感、企業への魅力などには対人面接との差がみられました。この差を踏まえ、より安心して参加できるAI面接に向けて、説明や運用として何が求められるかを第2報で検討しました。

同じデータを用いた第1報では、AI面接の選好に、面接不安の低さだけでなく、公平感と企業への魅力が関連していました。AI面接の利点を活かすには、緊張の軽減とともに、応募者が公平で納得できると感じられる選考体験を整えることが重要です。

応募者が重視したのは、評価方法と選考での位置づけ

就活サービス利用者248名に、AI面接で気になる点を6項目で尋ねました。評価される内容と、評価基準・評価根拠に関する項目の得点が特に高くなりました。

安心できる機能・運用 上位3項目

1.AI面接では合否が決まらず、人の面接につながる前段として使われる 平均 4.40

2.評価方法・評価項目が事前に明示される 平均 4.35

3.AIの評価結果が選考でどのように使われるか明示される 平均 4.22

そのほか高く評価された項目

1.簡単なフィードバックが返る 平均 4.21

2.発言の言い直し・取り直しができる 平均 4.14

3.回答内容を後から確認できる 平均 3.94

4.企業がAI面接を案内する意図が明示される 平均 3.90

そのほか、発言の言い直しややり直し、企業がAI面接を用いる意図、想定外の情報が評価に使われる可能性も、応募者が気にする点として挙げられました。

これらの結果は、応募者がAI面接の技術そのものを詳しく知りたいというより、自分がどのような手続きに参加し、AIが選考のどの部分を担うのかを理解したいことを示唆します。評価方法、結果の使われ方、人の関与を事前に伝えることは、安心して参加するための判断材料になります。

安心できる機能・運用の上位は、人による選考との接続と評価方法の事前明示

あったら安心できる機能・運用7項目は、いずれも平均3.90以上でした。最も高かったのは、AI面接だけで合否を決めず、人の面接につながる前段として使う運用です。次に、評価方法・評価項目の事前明示が続きました。

そのほか、「AIの評価結果が選考でどのように使われるか明示される」4.22、「AI面接の内容を踏まえた簡単なフィードバックが返る」4.21、「発言の言い直しや取り直しができる」4.14、「自分の回答内容を後から確認できる」3.94、「企業がAI面接を案内する意図が明示される」3.90でした。

結果からは、応募者がAI面接そのものを一律に拒んでいるというより、AIが選考で担う範囲と、人が判断に関与する位置が見えないことに不安を感じている可能性がうかがえます。

安心機能への期待は、公平感や企業への印象と関連

安心できる機能・運用を高く評価した人は、AI面接の進め方を公平だと感じ、面接を実施する企業への魅力も相対的に高く評価していました。特に、企業がAI面接を案内する意図を明示することは、公平感や組織魅力との関連がみられました。

また、AI面接で気になる点の多さは、不透明性や不気味さ、評価への納得感、公平感、企業への魅力などの反応とも関連していました。こうした結果から、応募者が選考を理解できる情報提供と運用設計が重要だと考えられます。

これらの結果は、説明や運用が応募者反応に関わる可能性を示しています。ただし、今回の分析は項目間の関連を調べたものであり、特定の機能を追加すれば公平感や組織魅力が高まると直接示したものではありません。

今回の研究から分かったこと

本研究では、対話型AI面接の緊張を抑えやすい特徴とあわせて、応募者が何を気にし、どのような説明や運用を安心できると評価するかを検討しました。人による選考との接続、評価方法・評価項目の事前明示、評価結果の使われ方の説明が上位でした。

また、安心できる機能・運用への期待は、公平感や企業への魅力と関連していました。これらは、AI面接への応募者反応を把握するための基礎資料となります。ただし、特定の説明や運用を採用すれば応募者反応が改善することを直接示した結果ではありません。

本研究の留意点

本研究は、実際の採用面接を受けた後の反応ではなく、面接場面を想定したシナリオへの反応を扱っています。また、AIアバターとリアルタイムに会話し、発話内容をもとに評価され、表情解析は行わないと説明された形式を対象としています。録画面接やテキスト面接など、他のAI面接に同じ結果が当てはまるとは限りません。

懸念項目と安心機能は就活サービス利用者248名にのみ尋ねています。また、安心できると評価された機能が、実際に応募者反応を改善するかどうかは検証していません。今後は、説明内容や人の関与の仕方を変えた実験や、実際のAI面接受検者を対象とした調査が必要です。

発表情報

大会名
日本社会心理学会第67回大会

会期
2026年9月12日(土)・13日(日)

会場
関西大学千里山キャンパス 第3学舎

発表番号
P04B07

発表題目
採用選考における対人面接と対話型AI面接の応募者反応(2)
不透明性・不気味さが納得感/公平感を介して組織魅力と面接選好に及ぼす関連

発表者
丹野 宏昭 主任研究員

日時
2026年9月13日(日)10時00分~11時30分

会場・形式
2階 A204教室 ポスター発表

大会ウェブサイト
https://www.socialpsychology.jp/conf2026/

注:発表論文集提出後に分析モデルを一部精緻化し、本記事では発表ポスターに掲載した分析結果を紹介しています。

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