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心理学から考えるAI面接① 応募者は、AI面接をどう受け止めているのか

2026/10/28
目次

採用面接にAIを活用する動きが広がっています。

日程調整や面接官の負担を減らすことに加え、評価基準を揃えることへの期待もあります。その変化を考えるうえで、選考を受ける応募者の受け止め方にも目を向ける必要があります。

リクルートマネジメントソリューションズが2026年1月に実施した、新卒採用に関わる人事担当者や経営責任者967名への調査では、AI面接の導入は17.6%、検討中は24.7%でした。

ただし、2026年卒の選考プロセスにAI面接を組み込んでいた企業は2.7%であり、導入と実際の選考での活用には隔たりもあります。

普及の動きとともに確かめたいのが、応募者にとってどのような選考体験になるかです。

面接を受けやすいと感じること、自分の力を示せると感じること、評価に納得できることは、それぞれ異なる判断です。

AI面接を理解するには、これらを分けて見る必要があります。

AI面接という呼び方に含まれる違い

AI面接という言葉には、複数の仕組みが含まれています。

画面に表示された質問へ回答を録画し、あとから評価する形式もあれば、AIとリアルタイムにやり取りする形式もあります。

さらに、質問や対話をAIが担当することと、回答をAIが評価することも区別できます。

録画した面接を人が評価する場合もあるため、録画型面接がすべてAI面接に当たるわけではありません。

この区別は、研究結果を読むときにも必要です。

Lukacikらが2022年に発表した論文では、録画型面接について、準備時間や録り直しの可否などの設計が、応募者の反応や回答行動に関わる枠組みを提示しています。

同じ録画型でも、回答するまでの準備や、言い直せる範囲が異なれば、応募者の体験は大きく変わります。

AI面接への評価を目にしたときは、どの形式で、AIが何を担当し、どのような説明を受けた人の回答なのかまで確認したいところです。ある方式で得られた結果を、仕組みの異なる面接にもそのまま当てはめることはできません。

AIを使うことと、AIに評価されること

マイナビが2026年4月に実施した、2027年卒業予定の大学生・大学院生1,258名への調査では、就職活動でAIを利用した経験がある学生は84.9%でした。

その一方、企業からAI面接を提示された際に受験意欲が下がるという回答は51.1%、変わらないという回答は42.1%でした。

AIの利用経験が広がることと、企業によるAI評価への抵抗が併存しています。就職活動を助けるために自分で使うことと、自分が選ばれる過程で使われることでは、AIとの関係が異なります。

ただし、51.1%は意欲についての回答であり、実際に選考を辞退した割合ではありません。

リクルートマネジメントソリューションズによる2025年の調査でも、面接で人に評価されたい学生は63.0%、AIに評価されたい学生は15.8%でした。

対象は、内定獲得などの条件を満たす2026年卒の学生685名です。人を希望する理由には、社員や企業の雰囲気を知りたい、自分のことを伝えられそうだという回答が多く挙がりました。AIを希望する側では、人の面接では緊張するという理由などが上位でした。

なお、この調査のAI面接への評価には、経験者が振り返った回答と、未経験者が想像した回答が含まれます。応募者の意識を知る資料として読み、すべてを実体験への評価と解釈しないことも必要です。

評価する相手が変わることの意味

海外の実験研究では、面接の評価主体に注目した検討も行われています。

Oostromらが2024年に発表した研究では、参加者が録画型面接と性格検査に回答したあと、人が評価したと伝える条件と、アルゴリズムが評価したと伝える条件を比較しました。第1研究は172名、第2研究は276名を分析しています。

両研究で、アルゴリズムによる評価を伝えられた条件では公平感が低くなりました。

また、公平感を経由して企業の魅力や入社意向が低くなるという統計的な関連も示されました。

実際の採用選考そのものではありませんが、回答する体験に加え、その後に誰が評価したと説明されるかも、応募者の受け止め方に関わることを示す研究です。

ここで測定されている公平感は、応募者が公平だと感じる程度です。評価が実際に偏っているか、仕事ぶりをどれほど予測できるかを直接検証した結果とは分けて理解する必要があります。応募者が不安を示したから評価が不正確だとも、好意的に受け止められたから評価が正確だとも判断できません。

説明によって変わる側面もあります。

BaschとMelchersが2019年に発表した録画型面接の研究では、標準化の利点を伝える説明は公平感を高め、受検日程の柔軟性を伝える説明は使いやすさの評価を高めました。

この研究はAIによる評価そのものを検証したものではありませんが、応募者が面接方式をどう理解するかを考える手がかりになります。

国内の対話型AI面接の想定場面でも反応は分かれる

筆者も、大学生・大学院生392名を対象に、人事担当者とのオンライン面接と、AIアバターとの対話型面接を想定した調査を行いました。同じ参加者に二つの場面を読んでもらい、それぞれについて回答を求めたものです。

同じ調査データを用いた一連の結果を、2026年の日本心理学会、日本社会心理学会、日本教育心理学会で発表しました。

以下では、学会発表と公開報告記事に示した結果を紹介します。

全体では、AI面接場面の方が評価への納得感や進め方の公平感、企業への魅力が低く、不気味さや評価の不透明性が高くなりました。この結果は他の研究とも共通しています。

一方、面接不安の差は、参加者の募集経路によって異なりました。

大学の講義を通じて募集した群ではAI面接場面の方が不安は低かったものの、就職活動支援サービスを通じて募集した群では明確な差がありませんでした。

AIが相手なら緊張せずに話せるという説明は、この結果全体を表していません。

希望する面接形式は、対人面接が306名、AI面接が42名、どちらでもよいが44名でした。人による面接を選ぶ学生が多い一方、AI面接を明確に希望する学生もいます。平均的な評価と、一人ひとりの希望は分けて捉える必要があります。

この調査は、特定製品を使った体験や性能を調べたものではありません。二つの場面では評価方法の説明にも違いがあるため、結果を面接官がAIか人かという違いだけに帰することもできません。

それでも、面接への不安、手続きへの評価、企業への気持ちが、同じ方向に動くとは限らないことを考える材料になります。

応募者が何を判断しているかを捉える

ここまでの研究や調査を読むと、AI面接への反応を賛成か反対かだけで整理することには限界があります。

話しやすいと感じても、評価を信頼できるとは限りません。反対に、人による面接に緊張する応募者が、AIとの対話を希望することもあります。

面接は、自分が評価される場であると同時に、入社後の仕事や、一緒に働く人を知る機会でもあります。自分の力を十分に伝えられるか、何を基準に判断されるか、企業のことを理解できるか。応募者は、複数の観点から面接を受け止めています。

研究結果を実務に生かす際には、受検しやすさだけでなく、能力を示せたという感覚や評価への納得感、その後の応募意向まで確かめたいところです。態度や意向の変化が実際の選考参加や辞退につながるかも、別に追う必要があります。

AI面接の受け止められ方を知ることは、導入時の抵抗を減らすためだけの作業ではありません。

応募者が選考に何を求め、どこに不確実さを感じているかを知り、面接の設計や運用を点検することにつながります。

次回は、面接の質問や評価基準をどのように設計するかについて、構造化面接の研究から考えます。

(組織心理研究所 主任研究員 丹野宏昭)

文献

リクルートマネジメントソリューションズ 2026.「新卒採用選考プロセスとフォローについての実態調査」の分析結果を発表.https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/6713572397/

マイナビ 2026.2027年卒 大学生キャリア意向調査4月<就活生のAI利用について>.https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260526_110798/

リクルートマネジメントソリューションズ 2025.「採用CX(候補者体験)に関する意識調査(2025)」の分析結果を発表.https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/8709951716/

Lukacik, E.-R., Bourdage, J. S., & Roulin, N. (2022). Into the void: A conceptual model and research agenda for the design and use of asynchronous video interviews. Human Resource Management Review, 32(1), 100789. https://doi.org/10.1016/j.hrmr.2020.100789

Oostrom, J. K., Holtrop, D., Koutsoumpis, A., van Breda, W., Ghassemi, S., & de Vries, R. E. (2024). Applicant reactions to algorithm- versus recruiter-based evaluations of an asynchronous video interview and a personality inventory. Journal of Occupational and Organizational Psychology, 97(1), 160–189. https://doi.org/10.1111/joop.12465

Basch, J. M., & Melchers, K. G. (2019). Fair and flexible?! Explanations can improve applicant reactions toward asynchronous video interviews. Personnel Assessment and Decisions, 5(3), Article 2. https://doi.org/10.25035/pad.2019.03.002

丹野宏昭 (2026).採用選考における対人面接と対話型AI面接の応募者反応(1)―応募者反応比較とAI面接選好の規定要因―.日本心理学会第90回大会発表.公開報告記事 https://oprl.mikiwame.com/articles/kyajpx39oov

丹野宏昭 (2026).採用選考における対人面接と対話型AI面接の応募者反応(3)―就活自己効力感が「不安低減」と「不透明性・不気味さ」に及ぼす影響―.日本教育心理学会第68回総会発表.公開報告記事 https://oprl.mikiwame.com/articles/g-tj0mx21ij

#内定承諾率#採用面接#就職活動#AI
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